山形県企業局コンサート
【山形交響楽団 New Year Concert】

  
モーツァルト/マーチK.249
   セレナード第7番ニ長調K.250「ハフナー」第1楽章
ハイドン/交響曲 第93番 ニ長調
   ------(休憩)-----
J.シュトラウスU世/喜歌劇「こうもり」序曲
J.シュトラウスU世/アンネン・ポルカ
J.シュトラウスU世/皇帝円舞曲
J.シュトラウスU世/ポルカ「雷鳴と稲妻」
J.シュトラウスU世/ワルツ「美しく青きドナウ」
【アンコール】
J.シュトラウスU世/トリッチ・トラッチ・ポルカ
2015.01.10(土) 庄内町響ホール
指 揮:鈴木秀美
コンサートミストレス:犬伏亜里

久しぶりの山響は大好きな響ホールでのNew Year Concert、新年早々縁起がよいのだ。
それも料金はタダ、タダほど高いものはないと言うが往復はがき代は掛かっている。応募多数の場合は抽選でとの事なので、家族全員の名前で応募したら全部当選した。楽団の経営状態が芳しくない噂もちらほら、申し訳ないが家族全員での鑑賞と相成った。
あまりにも幸先がよいので今年はきっとまれに見る良い年となる予感が…

全席自由なので早めに行けば良かったのだろうが、そんなに混むわけがないと高をくくってぎりぎりに入場したら、あらら満席状態、事務局の後藤さんが前の方が空いてますよと案内してくれたので前から3列目に陣取る。こんな前で山響を聴くのは随分久しぶりだ。あまりにも前過ぎて全体の配置が見えないのは残念だったが、団員さんの表情やしぐさ、指運び、指揮者の細かい表情、コンミスの采配と奏者間のアイコンタクトなどは手に取るようにわかる。
いつもは二階席で聴くオケの音もそんなに違和感はなく、むしろ立体的ですらあった。


ハープもこの近さで…

さてさて奏者が入場してきた。全体の配置は見えなかったがVcがいない様子だ。1stVlnが横に広がり、空いたVcのスペースを満たす感じかな、指揮者が入場しないまま、しかもスタンディングポジションで亜里さんのボーイングを合図に1曲目モーツァルトのマーチK.249が始まる。あっけにとられて見ていたのだが、ふと通路に人の気配を感じ視線を返すと何とHrの八木さんが、ナチュラルホルンの音色を響かせながら立っているではないか。そのまま下手の袖の階段からステージに、何と後にはHrの岡本さんも続いている。

ふと気になり上手に視線を転ずるとTp奏者の井上さんと松岡さんも階段からステージへ上がるのが見えた。その後にもう一人変なカツラを被ったオッサン(指揮者)も続いてステージへ上がった。ステージ上で持っていたピリオド型のトランペットを井上さんに仰々しく手渡すと指揮台の方へ進むが、2ndVln奏者のボーイングが行く手を遮る。ボクシングディフェンスのウェービングするようにそれをかわすが、なかなか前に進めなくて観客の笑いを誘う。が何とか指揮台へ到達、そのままセレナード第7番へと続くのだった。
新年早々とても楽しい演出が光る鈴木秀美氏でした。

鈴木秀美氏は現在山響首席客演指揮者として活躍されているが、チェリストとしても著名な方である。古楽のスペシャリストでバッハコレギウム・ジャパンでは創立時からのメンバーとしても有名だ。私的には鈴木氏の指揮姿は初めて見る。
この日の山響は2ndVln.Vla.Vcのトップは客演でどこかで見たような気もするがよく思い出せない(汗)
その他のパートも軒並み客演が多く編成も大きい。
ちなみに1曲目は指揮者の解説によれば、Vcがいないので低音部はCb,Vla,Fgが担当しているとのこと。

2曲目ハイドンの交響曲第93番は1791年の作曲でハイドンにしては珍しく全4楽章の作品だ。
配置は、下手から1stVln-8,Vc-5,Vla-5,2ndVln-6、その後ろにFl-2,Ob-2,Fg-2,Hr-2,Tp-2,Timp-1、最奥にCb-3である。
ハイドンとモーツァルトの関係は近く、アマデウスが深く影響を受けた作曲家として知られている。モーツァルトが交響曲を量産していた時期(交響曲20番前後)は、特にハイドンの影響が強いと思われる。

恥ずかしながら生で聴いたのは初めてかな? 指揮者の鈴木氏にとってはハイドンの演奏はライフワークなのだと思う。
演奏はとても素晴らしく新年にふさわしい曲だと感じた。第1楽章からブラボーでした。
第2楽章はゆったりとしたテンポで進み牧歌的な感じ、この曲は全体的に様々な工夫が詰まった素晴らしい構成だと感じた。

休憩後は編成も巨大となりハープやチューバも登場のフルオーケストラ、ヨハン・シュトラウスU世の特集となった。
New Year Concertと言えばお正月のウィーンフィル、我が家でも毎年楽しくテレビで見ているが、今年の指揮者は巨匠ズービン・メータ、途中でシャンパンをマエストロ自ら楽団員に配ったりして楽しい構成でした。今日の選曲は毎年聴いていれば嫌でも耳に残る名曲のオンパレード、まさに新年を祝うお祭り的コンサートでした。
我らが山響のサウンドもウィーンフィルに勝るとも劣らぬ名演で実に素晴らしく、団員さん達もとても楽しげに演奏してました。前の座席に座るとその辺の雰囲気も手に取るように伝わってきます。
コンミスとVc首席のアイコンタクトが見ていて実に楽しかった(笑)

ポルカ「雷鳴と稲妻」では打楽器奏者の南さんが、雷様の格好で登場し会場を沸かせていました。また鈴木氏の解説によればシュトラウスのワルツやポルカ等の題名は実に色々なジャンルを網羅しており何でもありの様相を呈しているとのこと(笑)
ex.ワルツ「株式配当」や冗談ポルカなんてのもあるようだ。
調べたら5百曲弱の作品が出てきてびっくりした。まさにしゃべるような勢いで作曲していたのだろう。

後半は行け行けドンドンで進行し、あっという間にラストの「美しき青きドナウ」まで、アンコールの拍手が鳴り止まず「トリッチ・トラッチ・ポルカ」のアンコール、それでもやまない拍手にもう無理と言わんばかりに、最後は鈴木氏がコンミスの亜里さんの腕をを引っ張って袖に消えた。
新年早々実に楽しく有意義な時間を共有でき感謝いっぱいの気持ちで会場を後にした。
今年の山響のプログラムも発表されたが、残念ながら庄内定期は酒田、鶴岡一回ずつと変わらなかった。
特別演奏会に期待するしかないのかな?